「東京コレクションを考える」では、これまでの歴史を振り返り、今後の提言を行っている。TD6からスタートした東京コレクションは、東京ファッションデザイナー協議会(CFD)に受け継がれ、現在は日本ファッション・ウィーク推進機構(JFW推進機構)が主催している。メルセデスベンツが冠スポンサーにつき、「メルセデス・ベンツ ファッション・ウィーク 東京」という名称で開催されている。 一時期、東京コレクションのあり方については、いろいろと議論されたが、冠スポンサーがつき、経営的に安定してから、あまり話題にならなくなった。主催者や名称の変化はともかく、コレクションの意義、コレクションのあり方については継続して議論するべきではないか、と思う。 そもそも、パリもニューヨークもミラノも、各コレクションにはそれぞれのコンセプトがある。パリコレはフランス人デザイナー、ニューヨークコレクションはアメリカ人デザイナーのために存在しているのではない。世界中から参加するコレクションだ。 それなら東京はどうすべきか、というのが、私の問題意識である。 「ジャパンブランドの販売戦略を考える」では、輸出振興の名目で海外展示会に出展しながら、成果が上がらないメーカーに対する提言である。 海外企業が日本市場を重視するのは、日本市場で認められれば、アジア市場で信用を得られるからだ。日本企業もアジア市場を攻略するには、まず日本市場で認知されることを考えるのが当然だろう。しかし、現実は「日本で売れないから海外市場に行く」という考える人も多い。 まず日本市場でやるべきことをやってから、海外市場に出掛けましょう、という意見と具体的な進め方について解説した。 「ファッションビジネスをグローバルに考える」では、まず日本のビジネス環境全体を俯瞰している。その上で、ファッションビジネスはどうするか、という視点に立った提言を行っている。 「経済再生は『現場力』向上から」は、日本の強みは現場力にあるのではないか、という仮説から始まり、現場力を高めるための提言を行っている。政府や大企業は大卒のホワイトカラーであり、ホワイトカラーの視点で経済を見ている。しかし、私は「日本のホワイトカラーは国際競争力がない」と思っている。むしろ、販売員の接客や、工場の従業員にこそ国際競争力はあるのではないか。 本書は、有料メルマガ「j-fashion journal」(http://www.mag2.com/m/0001355612.html)のコンテンツをまとめたものだ。その後、数カ月遅れで私のブログ(http://j-fashion.cocolog-nifty.com/jfashion/)にも紹介している。したがって、コンテンツそのものは無料で読んでいただくことができる。しかし、プログまで行って、わざわざバックナンバーを読む人はほとんどいない。ということで、電子書籍という形にまとめてみた。まとめて読んでみると、また別の作品になっているように感じている。[目次]東京コレクションを考える ファッションショーが有料から招待制に変わった理由 パリコレと東コレの違い 東京コレクションとTGC 「FNO」の盛り上がり 東コレ活性化案①「東京リアルクローズ」 東コレ活性化案②「ウェアラブル・テクノロジー」ジャパンブランドの販売戦略を考える 産地メーカー発「ジャパンブランド」の強みと弱み 百貨店の店頭活性化とイベント販売 商品、什器、POPツール、販売員のパッケージ開発 『JPB倶楽部展』構想 セレクトショップ単位で海外市場進出を!ファッションビジネスをグローバルに考える 日本の政治、日本の企業は、なぜダメになったのか? 女性の社会進出が進んでいる国は経済成長している 個人の能力には差があることを前提とする 大企業だけが儲かり、中小企業が儲からない理由は? 日本市場で国際ビジネスを展開する経済再生は『現場力』向上から 日本の高度経済成長は「現場力」が基盤だった 日本の経済パワーを封じ込める戦略とは? 「百貨店」「アパレル企業」の機能喪失 「立場が強い存在」が「競争力のある存在」を支配している 「現場重視」「フラット化」「管理職削減」を実行しよう 海外ビジネスで「現場力」を発展させる 「欧米の統治」と「日本の共生」